2016/11/02

SpotCooler あるいは TECの利用による SCT Cooling Projectの方針

これまでの考察の中ではっきりしてきた
Cooling Projectの方針は以下のとおりである。

1.メーカーの保証がなくならない範囲でまずは試みる。

2.Rear Cell(背面主鏡セル鋳物)を低温に冷却する。
  露点以下に冷やすことは物理的にRear Cellを含めたSCT全体にダメージを
  与える可能性があるので避ける。
  この露点以下にしない温度制御は温度・湿度センサを鏡筒内に設置する
  必要があり場合によっては1.の条件を満たせない可能性もある。

3.Rear Cell に囲まれたPrimary Mirrorを熱放射冷却(Radiative Cooling)する。
  黒体放射を有効に機能させるために放射面の黒塗装が必要かもしれないが
  内部に手を加えるので、実験の結果主鏡の温度低下が期待を下回る場合に
  考慮する。

4.熱伝達冷却(Convective Cooling)に有効なFanは
  鏡筒内の静的な熱分布を妨げるので使用しない。

  SpotCoolerのトライアルではC14の換気口から冷気を鏡筒内部に取り入れ
  ドローチューブから排気ファンで抜き出したが、一旦この手法は棚上げする。
  鏡面の温度分布が換気口からの冷気の流入で局部的に低温になる。
  それが鏡面を一時的に変形させ均一な温度に馴染むまでに時間を要する
  結果になっていると判断されたからである。

  同様にTECを用いる場合もFanを使わないで均一な冷却を試みる。
  緩慢に冷やして熱分布の偏位をできるだけ作らないということでもある。

  鏡のFront面はアルミ蒸着であり熱放射の放射率は低い。
  いずれにしても鏡の背面の温度低下が表面より大きいので
  均一になるには時間がかかることが想定される。

主鏡を天空に向けていわゆる放射冷却を期待するのはある程度の
効果が期待できるが、ガラスは基本的に波長の長い赤外線
(主鏡のように温度が低い物体から出る赤外線)は殆ど透過しない。
→温室効果
このことからNewtonの場合に比べSCTでは天空への熱放射は利用しにくい。

鏡面の裏側は直接ガラスとアルミ鋳物が接する空間であるため
熱放射が利用できると考えた。


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