2016/11/30

放射冷却システムプロジェクト RCSP その9 TEC取り付けの検討

温度センサの測定環境が整って来たので
いよいよTECの取り付け検討を始めた。

TECを取り付けるにあたりC14にアンカーとなる場所
(要は、しがみつける場所)が必要になる。
悩んだ末C14に鏡筒バンドをつけることにした。


ホームセンターで20mm幅厚2mmのアルミフラットバーを
購入加工した。120度でアンカーが必要なので
鏡筒バンドは3分割で作成した。
C14の鏡筒の周長は1200mmあるので約400mmの
分割となる。

この分割部にある結合ネジ部分をアンカーとする。



 ワイヤーは仮のテスト用にタコ糸を使用した。
C14の取手の先に上記のアンカーがある。
そこにタコ糸のエンドを留めてある。
現物合わせを行って
現実的な方法であるとの感触を得た。


ビジュアルバックのセンター部分にステンレスワイヤーを
回しCPUクーラの足を経由して鏡筒バンドのアンカーで
留める。テンションの調節はCPUクーラの設置足の
ネジで行う。
という構想で製作をすすめる。

全体着脱可能、TEC交換可能という条件を満たした
装着方法である。

さて目論見通りうまくいくでしょうか・・・・・。

2016/11/29

温度変化グラフまとめ 20161125-20161127 (その2 気象センサグラフ)

Davis Instruments社の
VantageVueという気象センサを利用しています。


先に投稿した鏡筒周りのセンサと時間軸を合わせた
グラフを載せます。(25日0時~27日24時まで)
概ねドーム内部の温度は外気温にぼぼ時間遅れなく
追随していることがわかります。(熱容量が小さい)
RearCell Obj Tempが鋭く追随している感がありますが
ドーム内面放射熱の影響が大きいのではないかと
思っています。

2016/11/27

温度変化グラフまとめ 20161125-20161127


25日6:00より連続して取得したデータをノイズ除去して
整形したグラフを作成した。

SpotCoolerの使用
 25日15:20→16:33
の一回のみ。
ドームスリット開閉
 26日13:00→14:15
27日02:00付近の温度上昇は
気象条件による外気温変化。

主鏡温度が環境温度変化に約2時間以内の遅れで追随していることが解る。

注)DomeAir温度のセンサはSHT75で異なる。
  他の2つは物体に貼り付けたDS18B20なので
  絶対温度として測定値を読むのは難しいが
  傾向はつかめる。

2016/11/25

木星 20161124



寝坊して日の出直前から観測開始。
高度は30度を超えている。
シーイングは良くなかった。
今シーズンはまだ納得の行く画像が得られていない。

火星 20161125


 快晴であったがシーイングは良くなかった。
 SpotCoolerでの冷却テストも同時に行った。
 シーイングが悪ければ何をしてもダメ。

SpotCooler利用による温度変化データ 20161125




 本日のSpotCoolerの稼働状況の温度変化のグラフです。
 ところどころ大きく飛んでいる部分はデータ取得の
 エラーです。RearCellAirとある2番めのグラフの
 センサ位置は暫定で赤道儀不動点下の外部にあります。

 SpotCoolerの冷気はRearCellを冷却しますが
 換気口は閉じているのでRearCell内部に冷気は
 入りません。
 この状態で明らかに主鏡温度は下がり始め
 環境温度よりも低い状態で推移しています。

 環境温度が主鏡温度を上回るのは19:30で
 現在の火星の観測には充分な条件を
 作れたことになります。

2016/11/23

AmbientでのSCT環境温湿度データ 一時公開

Ambientにアップロードしている
環境計測データを一時的に公開します。
ちょうど明け方にかけて雪が降りそうな予報ですし
ドームを閉じた状態での温湿度変化が
リアルタイムで見られます。
2分に一回アップロードしています。

<注>現在(11/24 9:44)公開を停止しました。
 後ほどまた再開します。
<注2>再開しました。(11/24 19:52)データは
リセットしましたのでこの時間からの測定になります。
屋上は雪が少し積もって大変寒いです。
停止に至った原因は温度データの桁数が
低温で減ったためプログラムが上手く動かなくなったという
現象でした。お粗末さま。
<注3>再度停止しました。(11/24 21:20)


Ambient公開チャンネル


キャプチャした画面は12:00までは開発環境で室内。
その後ドーム内に移動して設置した状態で暫く稼働します。


とりあえず参考までに公開してみます。
明日TECのC14への実装を始めましたら
公開をまた止めるかもしれません。

現在はRearCell Air Temp. Hum.
に関してはRearCell付近の外部環境に
仮にセンサを置いています。


2016/11/22

SpotCoolerの適用事例のご紹介

福島の近内さんからSpotCoolerの適用事例を
送っていただきました。
2mのドームに16インチのミードシュミカセを
入れて観測されています。


11月16日にドーム内に収まったとレポート頂きました。



なんと農業用のジョウゴをホームセンターで見つけて
スポットクーラの冷気のカバーとして使われています。
(11/18)
素晴らしい。
私も本日注文しました。世の中探せばあるものですね。
(11/22)

今後の使用レポートが楽しみです。
とりあえずのご紹介です。

火星 20161122

 久し振りにシーイングは改善した。
ダストストームは確認できない。

スポットクーラで3時頃より冷却。
4時半にクーラを止める。
主鏡温度は環境温度より約1℃低い。
筒内ファンをOFFしたまま撮像した。


2016/11/19

放射冷却システムプロジェクト RCSP その8 温湿度測定無線化・ネット接続

温湿度計の製作に若干手間取った。

1.温湿度計の値と2チャンネル温度計の値の差
  かなりずれている。
  調整不要。電源電圧に依存しない。という
  思い込みがあった。(特にSHT75)
  よくSENSIRONのデータシートを読むと3.3Vの電源電圧で
  工場で校正してあると書いてある。

  試験の結果得た結論は

  ・温湿度計のSHT75は3.3Vで駆動するべきもの。
  ・2チャンネル温度計のDS18B20は電源電圧依存はない。
  ・両キットを3.3Vで駆動する。
 
  キットは5Vを前提に作られているが3.3Vでも
  表示は暗くなるが動く。(暗いところで使うので問題なし(笑))。
  後述の無線マイコンユニットも3.3V駆動で接続性もよい。

2.無線化・ネット接続
  無線LANチップESP8266EXを今回は使ってみた。
  ESP-WROOM-02というモジュールが簡単に手に入る。
マイコンのコミュニティではおなじみの
 Arduinoの開発環境でプログラムできる。

ブレッドボードで開発した。
 3つのセンサを一緒にして環境を合わせても
 表示は異なる。0.7℃差なので許容範囲か。
 若干のオフセットを考慮すれば使い物になりそう。

 下島健彦さんの提供している無料IOTサービスのAmbientに
 Wifi-> インターネットでデータを送り表示したもの。
 ESP-WROOM-02もAmbientも使い方の情報を
 整理するだけでも時間がかかった。
 ただ開発環境・ハードウェア製作も含めて大幅に
 敷居が下がった感がある。
 便利になったものだ。



 モジュールは1.5mmピッチなので変換基板を手に入れた。
 とりあえず2種類用意した。
 温度計の箱内に組み入れるので小さいほう(右)がOK。

これでようやくTECの実験と実装がデータを見ながら
 できる環境が整う。


2016/11/17

火星 20161117


視直径は7秒以下になった。
シーイングは悪く、かろうじて近赤外像で
子午線湾が明瞭。南極冠も明るい。

近赤外像のみシーイングは改善した様子だ。
回折効果は全体に目立たない。明縁が
ぼやけているためか。

2016/11/14

放射冷却システムプロジェクト RCSP その7 CPUクーラ

1台のペルチエユニットでの冷却実験を行う過程で
欲が出てきた。

「C14の格好良さが失われる。」

この点はなんとしても譲歩してはいけない部分だと
思い直した。(@hasyamaさんのC14背面の土地が
狭くなったとのご指摘もあり・・・・)

様々思案した挙句高効率な放熱システムは
CPUクーラに限るとの結論に至った。
量産品のため、放熱フィンの購入よりも
コストが安かったりする。


 KODATI SCKDT-1100 というCPUクーラを手に入れた。
80mmファンで全体の高さが34mmしかない。

放熱を小型化したこともあり、ペルチエ素子を
低抵抗のものに変更。かつ2枚を重ねて使う
方法をトライすることにした。

放射冷却システムプロジェクト RCSP その6 温度・湿度測定


このプロジェクトで温度・湿度の正確な測定は
重要なポイントである。
放射冷却の客観的な評価ができるよう、併せて
測定データのロギングや可視化なども必要になる。

1. 測定点
    A.主鏡           物体温度測定
    B.RearCell 内部表面  物体温度測定
    C.主鏡・RearCell近傍   空気温度・湿度測定
    D.赤道儀不動点付近  空気温度・湿度測定
    E.CP付近          空気温度
    F.Domeスリット外     空気温度

2. 測定機器
      StrowberryLinux社
      A.2チャンネル温度計  物体温度及び空気温度
      B.LED温湿度計      空気温度・湿度
      を用いて測定。
      キットを組み立て3Dプリンタでケーシング。
      1セットは既に使用していたがもう1台追加。
      シリアル出力をマイコンESP-WROOM-02にてWifi接続

3. ロギング・可視化
      AmbientというIOTサービスを利用しログデータを可視化する。

上記を現在製作進行中。


3Dプリンタで温度計のケーシング作成

約9時間ほどかかって出来上がる。
2チャンネル温度計とLED温湿度計が収まる。

1台は1年ほど前に作成したもの。今回センサの増設に
ともないもう一台追加で製作した。

完成。

温湿度計用の高精度センサ(SENSIRION SHT75)。
キット付属のものより精度が高い。+-0.3℃。
モジュラーケーブルで接続する。
はんだ付け後、防水加工。


温度センサ(DS18B20)。はんだ付け後、防水加工。
これはキット付属のものだが+-0.5℃の精度。


Wifi無線化、インターネット接続に関しては
別レポートで。
C14へのセンサ実装も後日詳報致します。


2016/11/12

火星 20161112

移動性高気圧に覆われシーイングは若干改善した。
南極冠の輝度が高い。南極周辺及び北極周辺に薄雲。
3時頃より換気ファン。5時より観測開始。
環境温度が16℃と低く主鏡温度は16℃でほぼ平衡。
内部ファンも必須ではない程度。


2016/11/09

放射冷却システムプロジェクト RCSP その5 <<再開>>

とりあえず手持ちであった別の冷却ユニットを
試験することにした。

画像の下にあるのが失敗したCoolerUnit。
大きさがまるで違います。

これをC14背面に取り付けるにあたり若干の加工を施した。
冷却側(吸熱側)の放熱フィン

放熱ファン・フィンを外した。伝熱グリースが塗ってある。
放熱フィンを削り取って平滑面にサンディング。
単なる4mm厚のアルミ板になったわけだが
伝熱グリスを塗り直してもとにアセンブリ。

この状態でC14の背面に取り付ける。
通電テストをするとあっという間に冷却面が
氷結する。放熱フィンもちょっと温まる程度。

放熱αゲルシートを貼る。

温度センサをC14のRearCellに貼り付け。
ユニットをドラフティングテープで仮止め。
冷却面とC14の間に隙間ができないように
慎重に貼り付け。

この状態で暫くの稼働試験。

鏡筒全体が裸の状態で
ドーム内外の風の影響や熱放射の出入りがあるので
布で部分的に覆う等の補助はした。


放射温度計で様々な箇所の温度変化を調べた。
黒体に近い場所を選び測定。
放熱ファンユニットも20度前後で環境温度より
5度前後高いレベル。
放射温度計は物体表面の放射率がわからないと
測定ができないのであくまでも参考値。
そもそもそんなに精度はないが非接触で測れるのは
大きなメリット。

詳細は後ほど。以下の測定値はIC温度センサでの
測定値。

時刻  環境温度  主鏡温度
13:30  14.54     15.3
15:00  14.08     13.9

この程度では何とも言えないが・・・・。

注)2016.11.10 10:00
若干の補記、字句訂正をした。

2016/11/08

木星 20161107


今朝は昨日からTECのテストで連続通電していたが
別レポートの通り素子が壊れてしまった。
主鏡温度が高い状態だったので
SpotCoolerを稼働してから撮像した。

日の出前にようやく1Set撮影できたが
シーイングは苦労した割には改善せず
大きな雰囲気が分かる程度の画像になってしまった。


放射冷却システムプロジェクト RCSP その4 <<中断>>

大失敗でした。
すぐにレポートしないと参考にして頂いた方に
ご迷惑をお掛けすることになるので速報です。


今朝まで運転を続けてみました。
全く冷えていませんでした。放熱フィンに触れても
熱くない。
極性を逆にしても症状は変わらず。
素子が壊れたと判断し、ドライバーを隙間に入れて
こじると放熱フィンが素子の分離してしまった半面が
ついたまま外れる。更にRearCellに残った半面を
割れることを期待しながらこじると、なんときれいに
ペロッと剥がれた。

1.放熱フィン・放熱ファンが小型過ぎた。
  高温側が加熱して素子の接合が劣化。
2.熱伝導接着剤はRearCellの塗装と馴染みが悪く
  物理的に摩擦でくっついていた状態。

という悲惨な結果であった。

何事もなかったように「もとどおり」になったC14


改めて
「急いては事を仕損じる」
という格言を思い出し反省している次第。

1.大型の放熱フィン・放熱ファンを使用する。
2.RearCell外側に最低限の物理的加工を施す。
  ex.接着部の塗装剥がし→金属同士の接着とする
                 →熱伝導効率の向上
3.温度センサを試験時より取り付け、万が一の加熱を防ぐ。
4.全体の熱設計を行う。

SpotCoolerは冷房能力が1.8Kwある。
消費電力はヒートポンプということもあり700W。
大変効率がよく短時間で主鏡温度を下げることができる。
次の設計のTECが出来上がるまで
しばらくはSpotCoolerでの実験を続けようと思う。


  

2016/11/07

火星 20161107


本日はC14のTEC改造の過程でSpotCoolerを使わなかった。
内部Fan使用で撮像したがシーイングは昨日よりも
悪く内部気流の制御としての比較評価はできなかった。


放射冷却システムプロジェクト RCSP その3

1日待ちきれず実用接着強度には達しているとして
暫定の配線、通電試験まで進めてしまった。


まずは仮固定テープを剥がした。

冷却ファンの取り付け。

次に12VのDC電源の仮配線。


電源の分配用の小型基板もついでに作成した。

12V20AのDC電源。TECは6A/Unitで大食い。

これで通電試験。
・・・・・。
どうも放熱フィンが冷たい。
ペルチエ素子の極性が逆方向で
RearCellを温めていた。
逆に接続し直してOK。

当然だがかなり放熱フィンは熱くなる。
それでも体感できるほどRearCellは冷たくならない。

想定されることではあったが、
冷却能力がSpotCoolerに比べると圧倒的に小さいようだ。


とりあえずRearCellを少しでも断熱して能力不足を
補う。周りに詰め物をして断熱。
しばらく放置することにした。


今日はたまたま気温の温度降下が大きく、
内部の潜熱も放出しないと間に合わないと判断。
排気ファンを回して補助。

と様々の対処をした後、主鏡温度は1時間で約1.5度程度
下がった。

断熱材は調達してあるが、これを実装すると
SpotCoolerでの冷却テストに支障がある。
しばらくは現実の観測環境の中で稼働試験を続けて
見よう。