2016/12/31

火星 20161231


昨日からほぼ変化なし。本年最後の火星観測。視直径5.7"
本日も日没後から暫くの間、気流が落ち着いた。

火星 20161230



SPCは小さくなっている。極を縁取るように薄い白雲があるか。
Hellasのアルベドは濃淡がある。Terra Sabaeは少し明るい。

視直径5.7"
シーイングはこの後悪化した。
薄明の間に、このところチャンスが有る。

本日は14:30頃よりTEC3台を駆動し冷却した。
観測中も連続運転。

2016/12/27

筒内気流制御関連手法の中間まとめ


即効性観測中運転長時間観測主鏡冷却速度温度均一性コスト製作難易鏡筒機械加工メーカ保証
鏡筒断熱内部XX
鏡筒断熱外部X
排気ファンX
内部気流制御ファンXX
SpotCooler冷気導入XXXX
SpotCoolerRearCell冷却XXX
TECXXX

様々な筒内気流の制御手法の中間的なまとめの表を作った。
それぞれにメリット/ディメリットがあるので、共存させて使い分けるのが
ベストかもしれない。またドームでの固定運用を前提としているので
室内室外移動や、遠征等の条件では全く違う方法がある。

1.鏡筒の断熱
  鏡筒の内側で断熱及び迷光処理する方法は工法もシンプルで効果は大きい。
  が、CPを外すことによるリスクがある。
  鏡筒の外側に断熱材を貼る、あるいはかぶせるのはデザイン的な収め方が
  難しいものの、CPを外さず手軽に着手できるのがメリット。
  閉鎖鏡筒のメリットを活かすべく鏡筒内部環境を均一安定に保つには
  必須の工作である。
  アクティブクーリングの場合の熱収支の改善にも寄与する。

2.排気ファン
  大きな鏡筒内外の温度差があるとき排気ファンで概ね外気温度に
  順応させるのはアクティブクーリングを使わない限りは必須である。
  換気口の有無、HDか否かによってもファンの取り付け方法は異なる。

3.内部気流制御ファン
  境界層流の除去が主目的。内部環境温度が何らかの理由で不均一、あるいは
  開放鏡筒の場合は必須の道具である。観測中も使用するのが前提である。
  閉鎖鏡筒の場合は内部温度が均一化し密度差による乱れが少なくなる効果がある。
  何らかの理由で筒内気流が発生してしまっている状況では、効果は
  必ずあるので、最後の切り札として使える。

4.SpotCooler
  最初に試みた換気口から冷気を吹き込む手法は急速冷却効果が高いが
  主鏡も含めた系全体の温度分布の緩やかさを実現しないと像が安定しない。
  すなわち急速に冷却するが、温度を順応させる時間が必要で観測に短時間に
  入れるわけではない。(順応必要時間の経験値が必要)
  RearCellを冷やすのは間接的にミラーを冷却することになり、時間はかかるが
  均一に冷やしていく効果がある。運転を止めて30分程度で観測に入れる。
  ほぼ実用的な手法として使えるが、温度バランスが保持できる時間が
  限られているのが難点である。長時間の観測には他の手法と併用する必要がある。
  (内部気流制御ファンあるいはTEC)
  環境温度の高低、温度低下のスピード等の外部条件によって最適な
  Coolingの時間や、保持時間が変化するため運用には経験値が必要となる。

5.TEC
  アクティブクーリングとしては最もシンプルで安定性の高い方法となりうる。
  外部環境に依存せずに内部環境をコントロールでき、かつ観測時間中の
  運転が可能なため長時間の観測も最適化可能である。
  当初懸念された結露対策も閉鎖鏡筒のメリットでクリアできそうであるが、
  通年の条件変化を経てみないと結論は出ない。駆動ユニット数や
  駆動電圧等の最適化も同様である。
  レシピーとして最終的なまとめのためにテストをしているが、
  簡単なタイマーによるON/OFFレベルで運用できることを目指している。

「放射冷却」というテーマでActiveCoolingの製作試験を進めてきたが
この点に関しては筆者の熱工学的知見が不足していることもあり、
理論的に実証するには至っていない。
今後の楽しみでしょうか・・・・・。

2016/12/26

20161225観測時の温度測定グラフ(SpotCooler)

 20161225夕刻の温度測定グラフ。

 15:19 SpotCooler運転開始
 16:27 停止
 16:51 観測開始
 18:04 観測終了
 18:33 TEC 2台一時運転テスト ドーム閉
 18:49 停止

    良像を得るには何と言っても好シーイングが必要だ。
    そのチャンスを充分な事前準備が出来ない時でも
    有効に活かせるのがSpotCoolerの即効性だ。

火星 20161225



SPCの周囲に白雲が確認できる。北極周り(Acidalia)も広く白雲がかぶっている。

昨日の近内さんのコメントに指摘されていた
Chryseの南、Xantheあたりの白スポットは今日も明るい。(IR/赤)

久し振りにシーイングがよくディテールが現れた。
本日はSpotCoolerを使用した。

2016/12/24

火星 20161224



SPCが顕著。北極周辺に薄い雲か。ARABIA TERRAが明るい。
視直径5.9"。
目で見る限りはシーイングは2レベルかと思ったが
画像処理後はそこそこのディテールが得られた。

木星 20161223


NTB南縁が赤みを帯びている。CMWSZ

相変わらずシーイングは良くない。

TECの3ユニット通日駆動で
環境温度より主鏡温度は2℃以上低い状態を保持。

2016/12/23

放射冷却システムプロジェクト RCSP その14 TEC+CPUクーラ 3セットテスト

TEC+CPUクーラを3セット取り付けた。

■RearCellへのTECの貼り付け

  各種の熱伝導接着剤、粘着テープを
  試みた。
  C14のRearCellの曲面に取り付けるため粘着テープでは
  若干の隙間を吸収することができなかったため

  ・秋月電子通商 放熱用シリコン接着剤 HY‐910

  を用いてTECを接着することにした。
  シリコンコーキングに熱伝導剤を加えたものなので
  あとで剥がすことも問題ない。
  
TECの周囲には断熱フォームを貼ってコールド側と
 ホット側の熱交換を防ぐ。
 TEC上面の黒い■は黒体テープで温度測定のため
 仮に貼ったもの。あとで剥がした。

■CPUクーラの実装

 TECとCPUクーラの間は接着は避けて
 シリコングリス・粘着テープをテストした。

 ・秋月電子通商 シリコングリス HY-750

 を塗布してCPUクーラを載せた。

 3台を実装したところ。

■3台のTECユニットによる温度変化データ

 配線の整理や細部のデザイン的な収まりはこれからだが
 概ね基本構造は確定した。

 本日10時頃より電源を入れてテストした。

 環境温度より4℃以上RearCell温度は低下しており
 主鏡温度は2℃程度は環境温度から低い状態を
 保っている。

 気象条件が本日は通常より暖かく温度低下の
 速度も遅かったが概ね3台を稼働すれば
 余裕を持って観測時間帯の主鏡温度が
 環境温度より低い条件を満たせるめどが立った。

2016/12/20

火星 20161220


昨日以上のシーイングを期待したが外れた。
目立った変化は見られない。

2016/12/19

20161219夕刻の観測時の温度測定グラフ

このグラフの16時過ぎの状況では主鏡温度と
環境温度の差は3℃以上になってしまう状況であった。
一昨日は筒内ファンで境界流を解消することで
撮像に至った
本日はSpotCoolerを稼働してテストした。
16:42 SpotCoolerON
17:10 SpotCoolerOFF
TECは通日連続運転中

鏡筒内部の空気温湿度はSpotCooler運転に
応じて変化するRearCellの温度低下に応じて
変化している。
現状ではSHT75を裸の状態でRearCell内部の
空間に置いている。
1.センサがダイレクトにRearCellとの放射熱交換を
行っている。
2.センサにRearCellで冷却された空気が対流で移動する。
この2つのどちらを測定しているのかを
本来正確に見積もりたいわけだがまだはっきりしない。
温度変化のレスポンスの速さを見ると放射の寄与が
大きいと予測はしている。

火星 20161219


視直径はついに6.0”になった。
今夕はシーイングは冬型が緩んで少し
改善した。L、赤外、R画像はなんとかディテールを
捉えられた。
SPCはクリア。ダストらしきものは全体に確認できない。

TECは試験的に連続運転のままである。
観測時間頃に主鏡温度は環境温度より
3℃程度高い予想であったので
SpotCoolerを30分稼働した。(16:45~17:15まで)

この観測時の温度変化の状況は別にレポートする。

2016/12/17

火星 20161217


南極冠は小さくなったが境界ははっきりしている。視直径6.1”。
高度が上がってきているのでシーイングが良ければ
まだ観測は可能である。

TECの設定を誤り、主鏡温度は下がらず
筒内Fanを回して境界流を消した。
筒内Fanは最後の手段だが頼りになる。

2016/12/14

放射冷却システムプロジェクト RCSP その13 TECの実装試験

TEC+CPUクーラユニットを1Setのみ実装しテストした。

昨日12時TECを稼働し始めた。
RearCell温度が低下し
環境温度より低い状態を現在まで保っている。
同時に主鏡温度はRearCell温度に遅れて
追随しほぼ環境温度より低い状態で推移している。

先月の温度変化グラフを参照すると明解だが
RearCellの冷却効果により期待していた
「主鏡温度が環境温度より低い」という
状態を作り出せている。

とりあえずTECは電子制御無しで昨日の
昼から運転を続けている。
この状態で読み取れるのは

1.環境温度から2℃弱の温度差をTECがRearCellに
作り出していること。
2.RearCell温度変化に主鏡温度は約1時間の遅れで追随している。

結露に関しては、現状でRearCell外側は多くの水滴が付き
完全に結露状態。

鏡筒内部の現在値は別のセンサによれば
6.3℃湿度61%と充分に湿度は低く露点には至っていない。


外部の気象センサの測定グラフは
昨日夕刻から湿度が高くなり結露しやすい状況に
なっていたことが解る。

■まとめ
TEC運転の有効性が検証できた。
同時に懸念した結露に関してはRearCell外部の水滴の処理を
配慮する必要はあるが内部結露のケアはとりあえず不要である。
閉鎖鏡筒のメリットが大きく寄与している。
(もちろん四季を通じて鏡筒内部の湿度を低く保てるかは未決。)
TECのユニット数は環境温度の低下速度が大きい場合は
冷却能力を強化する意味で増加する必要はありそうだ。
(昨日19時から22時の状況)
恐らく現在の設計での最大3ユニットを準備すれば夏季でも不足は
ないと思われる。

2016/12/13

画期的汎用タイマー

SpotCoolerやTECを使うにあたって
やはり自動的にON/OFFする仕掛けが欲しくなる。
毎日定時
15時ON、16時半OFF
3時ON、4時半OFF
といったことをしたいとする。
解りやすく、かつ安価で、エアコンの駆動もできるタイマー。

■優れたインタフェースのタイマー
よくDIYで見かける千円もしないタイマー。
この時間設定は実にわかりやすいし
一目瞭然でセット内容が確認できる。
デジタル全盛の時代には貴重な
すぐれものである。

仕掛けは簡単でプラスチックのスライド駒を押し込んだ
ところがONになる。
全体の円盤が回ると押し込んだ駒がマイクロスイッチに
引っかかってスイッチオンとなる。

この仕掛の欠点は大電流(中でもエアコンの動力の
ような瞬発で電流が流れるもの)は扱えない。
マイクロスイッチの接点が融着して壊れてしまうのだ。

■SSR
そこでSSR(SolidStateRelay)を利用する。
今回はSSR-40 AAというAC100V入力でもON/OFFが
できるものを手に入れた。
ふつうに入手できるのはSSR-40 DAというもので
入力がDCの低電圧でマイコン等でコントロール
するのに便利な仕様になっている。
今回用途にはAC入力でないと工作が面倒になる。

■手元スイッチ
簡単かつ安全な装置製作を目指したため
左上に見える、市販の手元スイッチを購入した。
このコードを切って加工する。

■線の加工
くれぐれも100Vを扱う道具は、慎重に、安全に配慮して
加工する。

■完成
これで完成。実際はSSRをカバーする。

****注意******************
手元スイッチなのでこの結線になる。
AC100V2本ラインをそのままSSRの出力に繋いだらアウト。
炎上ですので、お間違えなく。
************************

iwaLabTimer

発案者の命名権を行使して「iwaLabTimer」と名付けます。




2016/12/12

火星 20161212


南極冠の北に雲の広がりが本日も見える。
シーイングが悪く良像ではないので
判断が難しいです。
ダストストームか否か?
コメントを頂けるとありがたい。



薄雲がかかり透明度が悪化し最後の赤外像ははっきりしない。
その後更に薄雲が濃くなりこの1setのみ
なんとか使えるものになった。

この撮像には初めてTECを用いた。
SpotCoolerは使用していない。
このレポートは別にアップします。

SpotCooler稼働状況

SpotCoolerの現状をご報告です。

あつらえたようにぴったりです。
私の勝手で「近内ジョウゴ」と命名させていただきました。

百均でバススポンジを4個買って半分にしたものを
丸くリング状に接着したものをからませて

その上にズボッとジョウゴをかぶせる

自作の鏡筒バンドに自転車用の荷物紐を切ったものを
取り付けてある。(3箇所)

それをヒョイと引っ掛けて装着完了。

SpotCoolerの冷却ダクト先端に隙間テープを貼り付けてある。
ちょうどジョウゴの内側径にスポット入る。

使わないときはこのように置いておく。

という具合に着脱も5分かからずにできるようになった。

ジョウゴの色はCelestronの朱色系に近くて良い感じ。
欲を言えばバススポンジの色がジョウゴと補色で☓。
黒かグレーで良いものを探しています。

2016/12/11

火星 20161210



南極冠周りに雲が見える。不明瞭だがダストか?
視直径6.2

2016/12/09

木星 20161208



相変わらず明け方はシーイングに恵まれない。
昨夕の続きで好転を期待したが外れた。

SpotCoolerは稼働したが上空の気流の
乱れは制御不能。当たり前ですが・・・。


月 20161208 続編


2016-12-08-0930

2016-12-08-0934

その他データは前編とほぼ同じです。

2016/12/08

月 20161208


火星の後、上層のシーイングが良いと見て月をトライした。
試しに1カット処理をしてみた。

追記: 
C14 F11 直焦点
ASI290MM 1936x1096 Full
2016-12-08-0944 IR685
duration 60s
exp 8.5ms
gain 154 (25%)
frames 4926
FPS(avg.)82
AVI  約10Gb

Autostakkert 2.7.7(x64)
Surface Image Stab.
Ap61 ApSize184
Min Bright 5
50%Stacked

Registax6
wavelet scheme Dyatic
wavelet filter default
layer 1:1 52.7
layer 2:2 14.6

Photoshop CS6
ToneCurve調整

火星 20161208


南極冠は明瞭。Amazonisあたりが若干明るい。
明エッジの偽像が強い。 視直径6.3

薄明の間にシーイングが良いケースが多い。
17時半以降は悪化した。

SpotCoolerを15時半より駆動。16時半停止。
筒内気流はほぼない状態で撮像できた。


2016/12/07

火星 20161207


ElysiumIR画像で明るい。南極冠は不明瞭。視直径6.3

SpotCoolerを16時頃より稼働したが
雲多く観測断念。
18時頃天候が回復したため再度観測開始。
主鏡温度は環境温度より低い状態を
維持していた。1DataSetのみの撮像。
その後シーイングは悪化。

放射冷却システムプロジェクト RCSP その12 続TECテストベンチ&スペックの整理

まず昨日の写真が見にくいものもあり
補足で画像をアップします。
アルミチャンネル材に載せた3連CPUクーラ。
テスト結果で追加ファンは必要ないようなので
外観は「カッコイイ」オリジナルな状態で収まりそう。

チャンネル上の黒い部分は黒のアルミテープで
放射温度計で測定するときに貼っている。
本物は大変高価なのでお手軽代用品を使っている。
裏面にはチャンネル温度測定のセンサ。
放熱グリースを塗ってテープ止めしている。
TEC直下でRearCell物体温度の位置を想定している。
CPUクーラを外したところ。
放熱グリースを塗ってTECを収めている。
周辺には断熱フォームを貼って
放熱側の熱が冷却側へ移動しないように
している。留めるネジも同様に
プラネジで熱移動がないように配慮。

最終的に
秋月電子通商で購入した
TEC1-12708を1枚/Unit使用。

約10V5Aで使用したので抵抗値は2Ω相当。
放熱面温度27度、冷熱面1度、温度差26度。
おおよそ吸熱量は30W程度と想定される。

3台を使用して総吸熱量90WでRearCellを冷やすことになる。

2016/12/06

放射冷却システムプロジェクト RCSP その11 TECテストベンチ

C14本体へTECを取り付けてからチューニングするのは
困難であることを想定して室内で実験できるテストベンチを製作した。
3台のCPUクーラを取り付けてテスト。
下に敷いているのは断熱シート。
写真が見にくくなってしまった。
手持ちのアルミ素材から5mm厚のコの字アングルを選び
CPUクーラを取り付けられるネジ穴を切った。
裏のTEC直下にセンサ。
しばらく稼働すると結露。

駆動条件は
9.93V 並列。 14.6A 約5A/Unit

念のため80mm角26mm厚のFanを放熱強化のテストに
用いた。

グラフの安定している中間地点のデータが強化ファンなし。
その後HotSideの落ち込んでいる部分が強化ファン付き。
それほど強化ファンは寄与していない。