| 即効性 | 観測中運転 | 長時間観測 | 主鏡冷却速度 | 温度均一性 | コスト | 製作難易 | 鏡筒機械加工 | メーカ保証 |
鏡筒断熱内部 | - | - | - | - | - | △ | △ | X | X |
鏡筒断熱外部 | - | - | - | - | - | ○ | ○ | X | ○ |
排気ファン | ○ | △ | ○ | △ | ○ | ○ | ○ | X | ○ |
内部気流制御ファン | ○ | ○ | ○ | △ | ○ | ○ | △ | X | X |
SpotCooler冷気導入 | △ | X | X | ◎ | X | △ | ○ | X | ○ |
SpotCoolerRearCell冷却 | ○ | X | X | ○ | ○ | △ | ○ | X | ○ |
TEC | △ | ○ | ○ | △ | ◎ | X | X | X | ○ |
様々な筒内気流の制御手法の中間的なまとめの表を作った。
それぞれにメリット/ディメリットがあるので、共存させて使い分けるのが
ベストかもしれない。またドームでの固定運用を前提としているので
室内室外移動や、遠征等の条件では全く違う方法がある。
1.鏡筒の断熱
鏡筒の内側で断熱及び迷光処理する方法は工法もシンプルで効果は大きい。
が、CPを外すことによるリスクがある。
鏡筒の外側に断熱材を貼る、あるいはかぶせるのはデザイン的な収め方が
難しいものの、CPを外さず手軽に着手できるのがメリット。
閉鎖鏡筒のメリットを活かすべく鏡筒内部環境を均一安定に保つには
必須の工作である。
アクティブクーリングの場合の熱収支の改善にも寄与する。
2.排気ファン
大きな鏡筒内外の温度差があるとき排気ファンで概ね外気温度に
順応させるのはアクティブクーリングを使わない限りは必須である。
換気口の有無、HDか否かによってもファンの取り付け方法は異なる。
3.内部気流制御ファン
境界層流の除去が主目的。内部環境温度が何らかの理由で不均一、あるいは
開放鏡筒の場合は必須の道具である。観測中も使用するのが前提である。
閉鎖鏡筒の場合は内部温度が均一化し密度差による乱れが少なくなる効果がある。
何らかの理由で筒内気流が発生してしまっている状況では、効果は
必ずあるので、最後の切り札として使える。
4.SpotCooler
最初に試みた換気口から冷気を吹き込む手法は急速冷却効果が高いが
主鏡も含めた系全体の温度分布の緩やかさを実現しないと像が安定しない。
すなわち急速に冷却するが、温度を順応させる時間が必要で観測に短時間に
入れるわけではない。(順応必要時間の経験値が必要)
RearCellを冷やすのは間接的にミラーを冷却することになり、時間はかかるが
均一に冷やしていく効果がある。運転を止めて30分程度で観測に入れる。
ほぼ実用的な手法として使えるが、温度バランスが保持できる時間が
限られているのが難点である。長時間の観測には他の手法と併用する必要がある。
(内部気流制御ファンあるいはTEC)
環境温度の高低、温度低下のスピード等の外部条件によって最適な
Coolingの時間や、保持時間が変化するため運用には経験値が必要となる。
5.TEC
アクティブクーリングとしては最もシンプルで安定性の高い方法となりうる。
外部環境に依存せずに内部環境をコントロールでき、かつ観測時間中の
運転が可能なため長時間の観測も最適化可能である。
当初懸念された結露対策も閉鎖鏡筒のメリットでクリアできそうであるが、
通年の条件変化を経てみないと結論は出ない。駆動ユニット数や
駆動電圧等の最適化も同様である。
レシピーとして最終的なまとめのためにテストをしているが、
簡単なタイマーによるON/OFFレベルで運用できることを目指している。
「放射冷却」というテーマでActiveCoolingの製作試験を進めてきたが
この点に関しては筆者の熱工学的知見が不足していることもあり、
理論的に実証するには至っていない。
今後の楽しみでしょうか・・・・・。