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2017/09/29

筒内気流の抑制まとめ(木星会議2017発表スライド)


遅くなりましたが9月9日から10日に行われた
木星会議で発表した内容をUpします。
「筒内気流の抑制」-ActiveCoolingの適用
と題して昨年よりの試行錯誤を経た
冷却手法をまとめました。



まずは日本ではあまり評判の良くないSCTの
応援です。筒内気流をケアすればSCTは
素晴らしいシステムだと言いたかった。


どれも有効な手法だ。それぞれ得失がある。
内部ファンは閉鎖鏡筒のメリットを活かす
有効な手法で2011年〜昨年秋までの撮像に
活用してきた。最も簡易な筒内気流改善策。
今回は3番目を新たな手法として提案した。


SCTの閉鎖鏡筒を活かして外部環境に
影響されない温度環境を作る。
断熱材は内張りでも外貼りでも構わない。
        ↓
そのうえで主鏡の冷却にとりかかる。


主鏡を環境温度より下げるのがポイントである。
時間をある程度かけてゆっくりと冷やすこと
で熱歪みを避ける。焦ってはいけない。
鏡材の小さな熱伝導率が時間短縮を妨げる。
 

直観的で適用しやすい手法である。
スポットクーラーの冷却能力は大きいので
使い方には工夫がいる。できれば温度センサを
配置して温度変化をモニタリングして適切な
冷却ON/OFFタイミングを経験的に把握する
必要がある。


TECはコントロールが可能で冷却方法の最適解を
見つけやすい。見えない温度変化を視覚化できる
センサは必須でリアルタイムのグラフ化が
望ましい。


 CPを着脱して鏡筒内にアクセスすることを許す場合は
 鏡筒断熱と内部ファンが最初に着手すべき選択肢に
 なると思われる。
 TECによるCoolingは内部に手を入れる必要は
 ない方法だが電子機器の扱いに慣れていないと
 敷居は高いかもしれない。しかし得られる効果は
 大きいのでぜひトライアルして頂きたい。


 ご意見、ご質問があれば是非ここにコメントなり
 E-mailをお願いいたします。

2017/01/25

火星 20170125


   SPCが明瞭。北極周りに薄雲。視直径5.2"。
   シーイングは良くディテールが現れた。

 観測を予定していなかったが冬型が緩みつつあったので
 準備を始めた。
 15:19 Dome Open SpotCooler ON
 16:51 SpotCooler OFF TEC ON
 かなりギリギリのタイミングだったが
 1.5時間で主鏡温度を環境温度より下げることができた。
 

2017/01/21

火星 20170121

SPC、Solis Lacusが明瞭。視直径5.3"。

冬型は続きシーイングは良くない。
薄明の間がやはり撮像のチャンス。
本日は観測を決めたのが遅くなり
15:11 SpotCooler ON
16:29 SpotCooler OFF TEC ON

2016/12/27

筒内気流制御関連手法の中間まとめ


即効性観測中運転長時間観測主鏡冷却速度温度均一性コスト製作難易鏡筒機械加工メーカ保証
鏡筒断熱内部-----△△XX
鏡筒断熱外部-----○○X○
排気ファン○△○△○○○X○
内部気流制御ファン○○○△○○△XX
SpotCooler冷気導入△XX◎X△○X○
SpotCoolerRearCell冷却○XX○○△○X○
TEC△○○△◎XXX○

様々な筒内気流の制御手法の中間的なまとめの表を作った。
それぞれにメリット/ディメリットがあるので、共存させて使い分けるのが
ベストかもしれない。またドームでの固定運用を前提としているので
室内室外移動や、遠征等の条件では全く違う方法がある。

1.鏡筒の断熱
  鏡筒の内側で断熱及び迷光処理する方法は工法もシンプルで効果は大きい。
  が、CPを外すことによるリスクがある。
  鏡筒の外側に断熱材を貼る、あるいはかぶせるのはデザイン的な収め方が
  難しいものの、CPを外さず手軽に着手できるのがメリット。
  閉鎖鏡筒のメリットを活かすべく鏡筒内部環境を均一安定に保つには
  必須の工作である。
  アクティブクーリングの場合の熱収支の改善にも寄与する。

2.排気ファン
  大きな鏡筒内外の温度差があるとき排気ファンで概ね外気温度に
  順応させるのはアクティブクーリングを使わない限りは必須である。
  換気口の有無、HDか否かによってもファンの取り付け方法は異なる。

3.内部気流制御ファン
  境界層流の除去が主目的。内部環境温度が何らかの理由で不均一、あるいは
  開放鏡筒の場合は必須の道具である。観測中も使用するのが前提である。
  閉鎖鏡筒の場合は内部温度が均一化し密度差による乱れが少なくなる効果がある。
  何らかの理由で筒内気流が発生してしまっている状況では、効果は
  必ずあるので、最後の切り札として使える。

4.SpotCooler
  最初に試みた換気口から冷気を吹き込む手法は急速冷却効果が高いが
  主鏡も含めた系全体の温度分布の緩やかさを実現しないと像が安定しない。
  すなわち急速に冷却するが、温度を順応させる時間が必要で観測に短時間に
  入れるわけではない。(順応必要時間の経験値が必要)
  RearCellを冷やすのは間接的にミラーを冷却することになり、時間はかかるが
  均一に冷やしていく効果がある。運転を止めて30分程度で観測に入れる。
  ほぼ実用的な手法として使えるが、温度バランスが保持できる時間が
  限られているのが難点である。長時間の観測には他の手法と併用する必要がある。
  (内部気流制御ファンあるいはTEC)
  環境温度の高低、温度低下のスピード等の外部条件によって最適な
  Coolingの時間や、保持時間が変化するため運用には経験値が必要となる。

5.TEC
  アクティブクーリングとしては最もシンプルで安定性の高い方法となりうる。
  外部環境に依存せずに内部環境をコントロールでき、かつ観測時間中の
  運転が可能なため長時間の観測も最適化可能である。
  当初懸念された結露対策も閉鎖鏡筒のメリットでクリアできそうであるが、
  通年の条件変化を経てみないと結論は出ない。駆動ユニット数や
  駆動電圧等の最適化も同様である。
  レシピーとして最終的なまとめのためにテストをしているが、
  簡単なタイマーによるON/OFFレベルで運用できることを目指している。

「放射冷却」というテーマでActiveCoolingの製作試験を進めてきたが
この点に関しては筆者の熱工学的知見が不足していることもあり、
理論的に実証するには至っていない。
今後の楽しみでしょうか・・・・・。

2016/12/26

20161225観測時の温度測定グラフ(SpotCooler)

 20161225夕刻の温度測定グラフ。

 15:19 SpotCooler運転開始
 16:27 停止
 16:51 観測開始
 18:04 観測終了
 18:33 TEC 2台一時運転テスト ドーム閉
 18:49 停止

    良像を得るには何と言っても好シーイングが必要だ。
    そのチャンスを充分な事前準備が出来ない時でも
    有効に活かせるのがSpotCoolerの即効性だ。

火星 20161225



SPCの周囲に白雲が確認できる。北極周り(Acidalia)も広く白雲がかぶっている。

昨日の近内さんのコメントに指摘されていた
Chryseの南、Xantheあたりの白スポットは今日も明るい。(IR/赤)

久し振りにシーイングがよくディテールが現れた。
本日はSpotCoolerを使用した。

2016/12/19

20161219夕刻の観測時の温度測定グラフ

このグラフの16時過ぎの状況では主鏡温度と
環境温度の差は3℃以上になってしまう状況であった。
一昨日は筒内ファンで境界流を解消することで
撮像に至った
本日はSpotCoolerを稼働してテストした。
16:42 SpotCoolerON
17:10 SpotCoolerOFF
TECは通日連続運転中

鏡筒内部の空気温湿度はSpotCooler運転に
応じて変化するRearCellの温度低下に応じて
変化している。
現状ではSHT75を裸の状態でRearCell内部の
空間に置いている。
1.センサがダイレクトにRearCellとの放射熱交換を
行っている。
2.センサにRearCellで冷却された空気が対流で移動する。
この2つのどちらを測定しているのかを
本来正確に見積もりたいわけだがまだはっきりしない。
温度変化のレスポンスの速さを見ると放射の寄与が
大きいと予測はしている。

火星 20161219


視直径はついに6.0”になった。
今夕はシーイングは冬型が緩んで少し
改善した。L、赤外、R画像はなんとかディテールを
捉えられた。
SPCはクリア。ダストらしきものは全体に確認できない。

TECは試験的に連続運転のままである。
観測時間頃に主鏡温度は環境温度より
3℃程度高い予想であったので
SpotCoolerを30分稼働した。(16:45~17:15まで)

この観測時の温度変化の状況は別にレポートする。

2016/12/12

SpotCooler稼働状況

SpotCoolerの現状をご報告です。

あつらえたようにぴったりです。
私の勝手で「近内ジョウゴ」と命名させていただきました。

百均でバススポンジを4個買って半分にしたものを
丸くリング状に接着したものをからませて

その上にズボッとジョウゴをかぶせる

自作の鏡筒バンドに自転車用の荷物紐を切ったものを
取り付けてある。(3箇所)

それをヒョイと引っ掛けて装着完了。

SpotCoolerの冷却ダクト先端に隙間テープを貼り付けてある。
ちょうどジョウゴの内側径にスポット入る。

使わないときはこのように置いておく。

という具合に着脱も5分かからずにできるようになった。

ジョウゴの色はCelestronの朱色系に近くて良い感じ。
欲を言えばバススポンジの色がジョウゴと補色で☓。
黒かグレーで良いものを探しています。

2016/11/27

温度変化グラフまとめ 20161125-20161127


25日6:00より連続して取得したデータをノイズ除去して
整形したグラフを作成した。

SpotCoolerの使用
 25日15:20→16:33
の一回のみ。
ドームスリット開閉
 26日13:00→14:15
27日02:00付近の温度上昇は
気象条件による外気温変化。

主鏡温度が環境温度変化に約2時間以内の遅れで追随していることが解る。

注)DomeAir温度のセンサはSHT75で異なる。
  他の2つは物体に貼り付けたDS18B20なので
  絶対温度として測定値を読むのは難しいが
  傾向はつかめる。

2016/11/25

火星 20161125


 快晴であったがシーイングは良くなかった。
 SpotCoolerでの冷却テストも同時に行った。
 シーイングが悪ければ何をしてもダメ。

SpotCooler利用による温度変化データ 20161125




 本日のSpotCoolerの稼働状況の温度変化のグラフです。
 ところどころ大きく飛んでいる部分はデータ取得の
 エラーです。RearCellAirとある2番めのグラフの
 センサ位置は暫定で赤道儀不動点下の外部にあります。

 SpotCoolerの冷気はRearCellを冷却しますが
 換気口は閉じているのでRearCell内部に冷気は
 入りません。
 この状態で明らかに主鏡温度は下がり始め
 環境温度よりも低い状態で推移しています。

 環境温度が主鏡温度を上回るのは19:30で
 現在の火星の観測には充分な条件を
 作れたことになります。

2016/11/22

SpotCoolerの適用事例のご紹介

福島の近内さんからSpotCoolerの適用事例を
送っていただきました。
2mのドームに16インチのミードシュミカセを
入れて観測されています。


11月16日にドーム内に収まったとレポート頂きました。



なんと農業用のジョウゴをホームセンターで見つけて
スポットクーラの冷気のカバーとして使われています。
(11/18)
素晴らしい。
私も本日注文しました。世の中探せばあるものですね。
(11/22)

今後の使用レポートが楽しみです。
とりあえずのご紹介です。

火星 20161122

 久し振りにシーイングは改善した。
ダストストームは確認できない。

スポットクーラで3時頃より冷却。
4時半にクーラを止める。
主鏡温度は環境温度より約1℃低い。
筒内ファンをOFFしたまま撮像した。


2016/11/07

放射冷却システムプロジェクト RCSP その3

1日待ちきれず実用接着強度には達しているとして
暫定の配線、通電試験まで進めてしまった。


まずは仮固定テープを剥がした。

冷却ファンの取り付け。

次に12VのDC電源の仮配線。


電源の分配用の小型基板もついでに作成した。

12V20AのDC電源。TECは6A/Unitで大食い。

これで通電試験。
・・・・・。
どうも放熱フィンが冷たい。
ペルチエ素子の極性が逆方向で
RearCellを温めていた。
逆に接続し直してOK。

当然だがかなり放熱フィンは熱くなる。
それでも体感できるほどRearCellは冷たくならない。

想定されることではあったが、
冷却能力がSpotCoolerに比べると圧倒的に小さいようだ。


とりあえずRearCellを少しでも断熱して能力不足を
補う。周りに詰め物をして断熱。
しばらく放置することにした。


今日はたまたま気温の温度降下が大きく、
内部の潜熱も放出しないと間に合わないと判断。
排気ファンを回して補助。

と様々の対処をした後、主鏡温度は1時間で約1.5度程度
下がった。

断熱材は調達してあるが、これを実装すると
SpotCoolerでの冷却テストに支障がある。
しばらくは現実の観測環境の中で稼働試験を続けて
見よう。

2016/11/06

SpotCoolerによる簡易テスト(2)

昨日のSpotCoolerのテストのレポート続編です。

14:30 SpotCoolerを停止。
17:00 RearCell: 17.4 主鏡温度: 17.4 環境温度: 19.1
18:00 RearCell: 17.8 主鏡温度: 17.8 環境温度: 18.2


RearCell温度と主鏡温度はおなじで推移。
RearCellの冷却時にかぶせたビニール袋はそのまま。
若干の断熱効果はあったかもしれない。

通常の観測フローは
1.排気ファンを1時間以上回して温度順応
2.観測時に内部ファンを回し続けて境界層流の拡散
  (電圧コントローラでファンスピード調整)
3.FireCapture

である。

今回は内部ファンを止めたまま観測するが
像は安定していた。
シーイングの良否の外部条件が異なるので
判断はしにくいが

「内部ファンを不要にできる可能性がある。」

との感触を得た。

対処療法的な内部ファン使用に対して
熱対流自体の抑制という根治療法なので
期待は高まる。
以下の火星像は観測結果である。

火星 20161105


高度30度前後の観測可能な時間は順行でかなり増えてきた。
シーイングは良くない。
南極冠がはっきり見える。
この撮像でSpotCoolerによるRearCellの冷却の
効果を確認できた。内部のファンはオフしたままでも
像は安定していた。

2016/11/05

SpotCoolerによる簡易テスト

短時間であるがSpotCoolerを稼働して
どの程度放射冷却の効果があるかを試験した。

C14の換気口を塞ぎ、冷気をRearCellだけに
当たるようにビニール袋をかぶせた。


12:00 外部 21.0 主鏡 21.0
13:00 外部 20.0 主鏡 17.0 冷気温度 12.4
13:30 外部 20.0 主鏡 15.7 冷気温度 12.3
14:30 外部 19.7 主鏡 14.0 冷気温度 12.5


ラフな計測だが
RearCell温度が下がると明らかに主鏡が冷やされる。

鏡筒はCPが上で対流は起こらない方向。
熱放射と若干の自然対流による熱伝達はあると
考えられるが期待される冷却は起こっているようだ。


RearCell内部は換気口から確認したところ
鋳肌がそのままの状態に黒の塗装がされている。
放射率は
パイレックスガラス 0.85~0.95
黒色塗料       0.9程度
であるのでほぼ当初懸念したような
内部塗装の加工は必要なさそうである。

ちなみにガラスは一般に0.9程度の放射率を持っているので
遠赤外線の透過率は0.1にもならない。
これがCPを介して主鏡の熱放射を期待しにくい根拠である。

多くの物体の放射率は

放射率

に詳しい。


2016/10/28

C14の鏡筒内気流制御(2)

鏡筒内の気流制御に関しての
幾つかの手法を分類しておきます。

1.主鏡面の温度を環境温度に順応させる
  1-1. 積極的に低温に冷やす(ActiveCooling)
      (SpotCooler)
  1-2. 外気で空冷する(PassiveCooling)
      (排気ファン)
2.筒内気流を制御する
  2-1. 筒の中の気流の乱れの影響を避ける
      2-1-1. 鏡筒に出来る限り開口部をつける(トラス等)
      2-1-2. 鏡筒を大口径にする
      いずれも鏡筒に添った境界層流の影響を避ける
  2-2. 筒の中の気流を積極的にファンで乱す
      温度差(温度差による空気屈折率の変化)のある上昇、
      下降気流を細かい乱流で混合して均一化する。
3.主鏡面に添って発生する境界層流を制御する
  ファンで直接あるいは周囲に風を送り境界流を吹き消す
  鏡筒上部に送り出す(ATM参照)、あるい主鏡周囲で吹き出させる
  といった手法がある。(S&T)

これらの手法を、開放鏡筒(Newton)、閉鎖鏡筒(SCT)の
特徴を踏まえて選択する。
また観測地の気候条件も大きく選択に影響する。

日本は昼夜の温度変化が少なく湿度が高いが
外国では大陸性の温度変化が大きく湿度が低い環境もある。

これはオーストラリアやアリゾナでActiveCoolingを選ぶ例が
あることにも関係する。
主鏡の温度順応が環境温度の変化に追いつかないことが
大きな選択理由であり、また冷やしても結露しにくいことで
実用になっているといえる。

このあたりの事情を踏まえ
日本におけるActiveCoolingの可能性をこれから考えていきたい。
1.SpotCoolerの利用
2.TEC(ThermoElectricCooling)の利用
この2つについて進めていく。



2016/10/22

SpotCoolerのトライアル

主鏡を環境温度より下げる手段としてSpotCoolerの
導入をした。
オークションで1万円強で入手したので
まずは主鏡面うらの後鋳物セル部分を
大きなビニール袋で覆ってテストをした。

 詳細は後ほどレポートするが
1.恐らく万能薬ではないが有効なケースもある
2.結露に対する対策が必要。
3.急冷するので鏡面・鏡筒の温度分布が
  ある程度均一化する馴染む時間が必要。
といったところ。
環境温度が秋も深まって下がってきているので
あまり有り難みを感じる日は巡ってこないかもしれません。