2016/11/06

火星 20161105


高度30度前後の観測可能な時間は順行でかなり増えてきた。
シーイングは良くない。
南極冠がはっきり見える。
この撮像でSpotCoolerによるRearCellの冷却の
効果を確認できた。内部のファンはオフしたままでも
像は安定していた。

2016/11/05

SpotCoolerによる簡易テスト

短時間であるがSpotCoolerを稼働して
どの程度放射冷却の効果があるかを試験した。

C14の換気口を塞ぎ、冷気をRearCellだけに
当たるようにビニール袋をかぶせた。


12:00 外部 21.0 主鏡 21.0
13:00 外部 20.0 主鏡 17.0 冷気温度 12.4
13:30 外部 20.0 主鏡 15.7 冷気温度 12.3
14:30 外部 19.7 主鏡 14.0 冷気温度 12.5


ラフな計測だが
RearCell温度が下がると明らかに主鏡が冷やされる。

鏡筒はCPが上で対流は起こらない方向。
熱放射と若干の自然対流による熱伝達はあると
考えられるが期待される冷却は起こっているようだ。


RearCell内部は換気口から確認したところ
鋳肌がそのままの状態に黒の塗装がされている。
放射率は
パイレックスガラス 0.85~0.95
黒色塗料       0.9程度
であるのでほぼ当初懸念したような
内部塗装の加工は必要なさそうである。

ちなみにガラスは一般に0.9程度の放射率を持っているので
遠赤外線の透過率は0.1にもならない。
これがCPを介して主鏡の熱放射を期待しにくい根拠である。

多くの物体の放射率は

放射率

に詳しい。


放射冷却システムプロジェクト(Radiative Cooling System Project →RCSP) RCSP その1

TECを利用した主鏡の冷却の試案を
制作プロセスを追いながらリアルタイムで
レポートして行こうと思う。
試行錯誤をしながらの部分もあるので
有効性が実証された場合には
しっかりしたレシピとしてまとめる予定。

基本方針は
SpotCooler あるいは TECの利用による SCT Cooling Projectの方針

に記述したとおりである。

TECのユニットは10月頭に入手したもの。
水冷TECユニット

入手したTECを仮にC14のRearCellに配置検討した。
写真のアルミテープは仮止めのため。

C14の現行モデルは曲面を多用しているので
ピッタリと収まる平面がない。
TEC素子は熱伝導接着剤で固定する。
TEC40mmX40mm

 冷却フィン底面は45mmX60mm

 放熱用小型ファン40mmX40mm


鋳物は120度対称なので3Unitがちょうど収まる。

冷却ユニットを機械的に固定する方法を考えたが
曲面が多くネジ穴を開けない方針では
複雑になるのでとりあえず接着を基本方針とする。
熱的な伸縮が大きいので補助的な固定が
必要になるかもしれない。

TECを入手した

先月初めに入手したTECは以下のものである。
中国Aliexpressからの直輸入です。
あまり馴染みのない方も多いと思いますが
Hobbyでつかう部品は若干輸送に時間がかかっても
安く手に入るのでよく利用しています。
日本では手に入らない部品も多くあります。
参考までにこのパーツのカタログのURLを記します。

NEW-DIY-kits-Thermoelectric-Peltier-Refrigeration-Cooling-System

冷却ファンのサイズを実装の制約で小さくしたかったので
水冷用のTECのキットを手に入れた。
なんと17ドル/台程度。安いものです。
TECを三枚使うので2台分購入しました。

梱包はこんなものがダンボールにくるんである程度。


中身はこれだけ。

カタログからとった完成予想写真はこんなもので
水冷の冷却ユニットが手軽に作れる優れもの。
検討の過程で水冷も可能性として残っていたので
選択肢に浮上した。


2016/11/02

SpotCooler あるいは TECの利用による SCT Cooling Projectの方針

これまでの考察の中ではっきりしてきた
Cooling Projectの方針は以下のとおりである。

1.メーカーの保証がなくならない範囲でまずは試みる。

2.Rear Cell(背面主鏡セル鋳物)を低温に冷却する。
  露点以下に冷やすことは物理的にRear Cellを含めたSCT全体にダメージを
  与える可能性があるので避ける。
  この露点以下にしない温度制御は温度・湿度センサを鏡筒内に設置する
  必要があり場合によっては1.の条件を満たせない可能性もある。

3.Rear Cell に囲まれたPrimary Mirrorを熱放射冷却(Radiative Cooling)する。
  黒体放射を有効に機能させるために放射面の黒塗装が必要かもしれないが
  内部に手を加えるので、実験の結果主鏡の温度低下が期待を下回る場合に
  考慮する。

4.熱伝達冷却(Convective Cooling)に有効なFanは
  鏡筒内の静的な熱分布を妨げるので使用しない。

  SpotCoolerのトライアルではC14の換気口から冷気を鏡筒内部に取り入れ
  ドローチューブから排気ファンで抜き出したが、一旦この手法は棚上げする。
  鏡面の温度分布が換気口からの冷気の流入で局部的に低温になる。
  それが鏡面を一時的に変形させ均一な温度に馴染むまでに時間を要する
  結果になっていると判断されたからである。

  同様にTECを用いる場合もFanを使わないで均一な冷却を試みる。
  緩慢に冷やして熱分布の偏位をできるだけ作らないということでもある。

  鏡のFront面はアルミ蒸着であり熱放射の放射率は低い。
  いずれにしても鏡の背面の温度低下が表面より大きいので
  均一になるには時間がかかることが想定される。

主鏡を天空に向けていわゆる放射冷却を期待するのはある程度の
効果が期待できるが、ガラスは基本的に波長の長い赤外線
(主鏡のように温度が低い物体から出る赤外線)は殆ど透過しない。
→温室効果
このことからNewtonの場合に比べSCTでは天空への熱放射は利用しにくい。

鏡面の裏側は直接ガラスとアルミ鋳物が接する空間であるため
熱放射が利用できると考えた。


鏡筒内に逆転層を作る

逆転層とは
上空の温度が高く地表の温度が低い状態である。
対流が起こらず安定した状態になる。

NewtonでもSCTでも主鏡が光学系の要素の中で
最も低い位置にある。
主鏡が環境温度よりも低いという条件の場合、
対流は起こらない。

現実には主鏡面近傍の空気は冷やされて
下降境界層流が生まれるわけだが
上昇流のように光の通路に立ち上って悪影響は及ぼさない。

全く対流が起こらない主鏡と環境温度が等しいという条件は
1.主鏡が熱的に均一であることはない
2.環境温度もまた不均一である
という事実からあり得ない。

主鏡が環境温度よりも低いという表現は正確にいえば
環境温度の最低値よりも主鏡の最低値が低いという条件が
成り立つということである。
その意味で大雑把に思い切って主鏡温度を下げてしまうことが
恐らく現実的な方法であると思われる。

さらにCPや鏡筒が冷却して下降気流が発生する可能性も
新たな問題として浮上してくる。
1.鏡筒のコルクライニング(あるいはActiveに温める)やCPのヒータ
2.鏡筒内全体を外部環境温度よりも低い温度に保つが主鏡温度は
  更に低く保つ
キリがないようにも思うが・・・・・・・・。


逆転層は風が吹くと消滅する。
同様に鏡筒内に風が起こると消滅する。
逆転層をつくるという試みとは背反する。

筒内気流制御というテーマの行き着くところ
1.鏡面境界層流の拡散
2.主鏡の温度を下げる(鏡筒内に逆転層を作る)
という2つの解決策のベクトルがあることになる。

1.はフィールドでほぼ実証済みで有効な方法である。
  エイヤッと吹き飛ばしてしまうので派生する課題は少ない。
  「筒内気流の動的制御」と名付けよう。
  
  注)この手法の欠点はSCTのメーカの保証がCPを外すことによって
  なくなることである。いわゆる「自己責任」。

2.はこれから別のアプローチとして実験・実証を試みたいことである。
  静的な状態を鏡筒内に実現することは多くの課題をクリアする必要がある。
  適当な落とし所、妥協点があるのかもしれない。
  「筒内気流の静的制御」と名付けるが、実現可能かどうかは分からない。

2016/11/01

熱放射 放射冷却

主鏡の冷却に関して
熱伝達(対流)を中心に方法を考えてきた。
環境温度と主鏡温度の差は
熱伝達で解消するのは困難であるというのが
結論であった。

伝熱のもう一つの形態である熱放射は
主鏡を環境温度より下げる可能性がある。
観測の弊害となるCPの結露は
環境温度よりCPが低い温度になることを
示している。CPの冷却は熱放射によって起こる。

SCTの温度順応の議論のなかで
鏡筒を外気に晒して温度をなじませるときの鏡筒の向き
が話題になる。

1.CPを下にして換気口から熱気を逃がすように放置
2.CPを上にして空に向けて放置
これはどちらも一理ある。
1は熱伝達を有利にすることであり2は放射冷却を
期待するものである。

放射冷却を考慮すると主鏡面温度を環境温度よりも
下げることができる。
雲のない天空は日中でも超低温(天空温度)で
主鏡から天空に向けて熱が放射していく。

主鏡の温度順応に熱放射を考慮できる
シミュレーションプログラムが以下のサイトに有る。
ダウンロードしてWindowsで実行できる。

http://www.cruxis.com/scope/mirrorcooling.htm


開放鏡筒でオープントラスの反射鏡は
天空へ向かって遮蔽物が少なく効率的に
冷却するとある。